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就業システム・組織戦略開発サービス

就活や仕事の悩みを晴らす7日間 お寺deハレバーレ!

期間:2018.11.12〜11.18

テーマ:若者就業支援、地域資源活用、既存施策の価値拡充

パートナー:公益財団法人日本財団、浄土真宗本願寺派 萬福寺

https://otera-7days.jp/

概要

“心の拠り所”として私たちの社会に根付く「お寺」という空間を、働くことや生きることに悩む若者を支える場として活かすことができないか。そんな発想から、就業支援における「お寺」という場の可能性を模索することを目的に「就活や仕事の悩みを晴らす7日間 お寺deハレバーレ!」を開催しました。大阪・南堀江に位置する浄土真宗本願寺派 萬福寺と公益財団法人日本財団の協力を得て、「働くこと」に悩みを持つ若者を対象に「お坊さんによる人生相談」、「脱!3日坊主宣言セミナー」、「仏教用語から考えるビジネスマナー講座」など、多彩な14種のコンテンツを提供し、就業支援における効果の検証もおこないました。また、お寺を支える檀信徒・檀家のみなさまの協力を得ながら、就業支援にまつわる情報発信の可能性についても実験的な取り組みをおこないました。

背景

行政資本100%に依らない持続可能な就業支援の在り方

全国の若年無業者数は約74万人、失業者は約186万人。それに加え、少子高齢化や生産年齢人口の縮小にも直面しており、日本の雇用・労働の課題は深刻化しています。それに伴い社会保障費が増加し、他の政策予算の圧迫や財政の硬直化、経済の活力の低下にも大きな影響をもたらすことが危惧されます。このような状況下において、就業支援等の行政サービスを行政の資本100%で継続することには限界があります。そこでお寺のような地域の拠点と連携することによって民間資本比率を高め、行政資本だけに依らない持続可能な就業支援の在り方を模索しました。

行政サービスの情報が届いていない支援対象者への情報発信

また、厚生労働省が管轄し全国に177箇所ある地域若者サポートステーション(通称:サポステ)は、働くことについてさまざまな悩みを抱えている15歳~39歳までの若者と40〜49歳の方のサポートを行っています。しかし、サポステの認知度は27%(若年層では31%)で、サポステ以外も含めて「知っている支援機関はない」と答えた人が約48%でした。このように行政サービスはあるが、支援が必要な人にその情報が届いていないなどの広報面にも課題を抱えています。

実施内容

お坊さんが持つスキルを活かした相談・セミナーや、ハローライフが普段おこなっている支援プログラムをお寺で開催するなど、「お寺」の資源を活かした14種のコンテンツを開催。計200名が各種コンテンツに参加し、既存の就業支援ではアプローチできなかった層に必要な就業支援に関する情報を届けるきっかけをつくることができました。

お坊さんによる人生相談

キャラクターがそれぞれに異なる総勢14名の人生経験豊富なお坊さんたちが、仕事、恋、人生など、あらゆる悩みの相談にのってくれるコンテンツです。1回45分の人生相談は、全30枠ほどを設け、参加者を募集しました。

納得のいく仕事さがしサポートプログラム

就活前に、グループワークを通じて、自分の「働く」軸を見つけだす2日間の就活サポートプログラムです。HELLOlifeが運営する就業支援拠点「ハローライフ」で実施している5日間の就活プログラムを凝縮し、お寺の空間で実施しました。

脱!3日坊主宣言セミナー

物事が続けられないことを表す慣用句「3日坊主」を卒業するための継続力をお坊さんに学ぶセミナーです。「3日坊主」にならないための物事を継続するため仕組みについて考え、計画づくりを行いました。

仏教用語から考える ビジネスマナー講座

仏教に語源があると言われる「挨拶」や「世話」。この講座では、言葉の持つ本来の意味に立ち返り、仕事をする上で抑えておくべきビジネスマナーを学びました。

その他にも、
・喋らないコミュニケーション講座
・人を思いやるコミュニケーション講座
・落語から学ぶ!プレゼンテーション講座
・最期から考える、これからの働き方・生き方 
・暗闇ごはん
・静座
・絵写経 など多様なコンテンツを実施しました。

若者支援施策イノベーションシンポジウム

「お寺」という社会資源と、就業支援を組み合わせた今回の7日間の社会実験イベントについて、就業支援、お寺、社会、教育などさまざまな分野で活躍されているゲストをお招きし、それぞれの立場から意見を交換しました。(協力:IMPACT Lab.)

《ゲスト紹介》

日本財団 ソーシャルイノベーション推進チーム チームリーダー/花岡隼人氏
一橋大学法学部卒業、ワルシャワ大学政治学研究科修了。(株)三菱総合研究所にてコンサルタントとして勤務後、ポーランド留学を経て、2013年9月より日本財団にて勤務。既存のセクターの枠組みを越えて、新たな社会変革を生み出す「ソーシャルイノベーター」の発掘・育成に従事。「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム」事務局を立上げ初年度より担当。共著に「子供の貧困が日本を滅ぼす」(文春新書、2016)。日本財団は、ボートレースの売上げの一部を活用し、「ソーシャルイノベーション」(よりよい社会のために、新しい仕組みを生み出し、変化を引き起こす、そのアイデアと実践)のハブとなり、子ども支援、障害者支援、災害復興支援など、よりよい社会づくりを目指します。

僧侶・未来の住職塾塾長/松本紹圭氏
1979年北海道生まれ。東京神谷町・光明寺僧侶。未来の住職塾塾長。武蔵野大学客員准教授。東京大学文学部哲学科卒。2010年、ロータリー財団国際親善奨学生としてインド商科大学院(ISB)でMBA取得。2012年、住職向けのお寺経営塾「未来の住職塾」を開講。以来、計600名以上の超宗派若手僧侶が「お寺から日本を元気にする」志のもと学びを深めている。2013年、世界経済フォーラム(ダボス会議)のYoung Global Leaderに選出される。『お坊さんが教える心が整う掃除の本』(ディスカバートゥエンティワン)他、著書多数。朝掃除の会「Temple Morning」の情報はツイッター(@shoukeim)にて。

株式会社 NEWYOUTH 代表取締役/若新雄純氏
株式会社NEWYOUTH代表取締役/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任准教授/福井大学産学官連携本部 客員准教授。慶應義塾大学大学院修了、修士(政策・メディア)。大学在学中に、障害者の就労支援を行う株式会社LITALICOを共同創業し、取締役COOに就任。拡大する組織に適応できず2年足らずで取締役を退任し、現在は、日本全国の企業・自治体・学校等で実験的な政策や新規事業を企画するプロデューサーとして独立。全国の若年無業者(ニート)を100人以上集めた株式会社の発足や、女子高生がまちづくりを楽しむ「鯖江市役所JK課」プロジェクト(総務大臣賞を受賞)などを実施。研究者としても社会のさまざまな現場で調査・フィールドワークを行い、テレビ・ラジオ番組のコメンテーターとしての出演や講演実績多数。著書に『創造的脱力~かたい社会に変化をつくる、ゆるいコミュニケーション論』(光文社新書)がある。(Web:http://wakashin.com/

NPO法人ETIC. 代表理事/宮城治男氏
1993年、学生起業家支援の全国ネットワーク組織として活動をスタート。以来、若い世代が自ら社会に働きかけ、仕事を生み出していく起業家型リーダーの育成に取り組み、これまで1000名以上の起業家を輩出・支援してきた。97年より中小・ベンチャー企業やNPOに学生が参画する長期実践型インターンシッププログラムを事業化。2001年ETIC.ソーシャルベンチャーセンターを設立し、社会起業家育成のための支援をスタート。以降日本初の社会起業のビジネスプランコンテスト「STYLE」、「社会起業塾イニシアティブ」等を手がける。04年からは、地域における人材育成支援のチャレンジ・コミュニティ・プロジェクトを開始。現在全国60地域に広がる。11年からは震災復興支援に注力、「右腕プログラム」では東北全域約150プロジェクトのリーダーのもとに250名のスタッフを送り込み、コミュニティ再生、産業復興等の支援を行っている。2011年、世界経済フォーラム ヤング・グローバル・リーダーズに選出。(Web:http://www.etic.or.jp/

NPO法人HELLOlife. 代表理事/塩山諒氏
1984年兵庫県生まれ。2007年に社会変革への衝動を形にしようと「スマスタ」を設立。既成概念にとらわれない「創造力」と、セクターを越えた「つながり」で、この豊かなまちの格差や貧困問題解決に挑戦している。2014年度グッドデザイン賞を受賞。2016年度は「日本財団ソーシャルイノベーター支援制度」において、ソーシャルイノベーター10件に選定される。2017年10月、労働・雇用分野における取組みを加速させるため「HELLOlife」へ社名変更。民間の就業支援施設「ハローライフ」や、公営住宅を活用した就職支援プロジェクト「MODEL HOUSE」などに取り組んでいる。

その他プログラムに関しての詳細は、下記の活動レポートよりご確認ください。