就業システム・組織戦略開発サービス
期間:2020.10.19〜2023.5.31
テーマ:若者就業支援、空き室有効活用、地域活性化
パートナー:大阪府、一般財団法人村上財団(2020)、四條畷市
大阪府、四條畷市、公益財団法人日本財団、NPO 法人HELLOlife の4社協定のもと進めてきた事業「住宅つき就職支援プロジェクト MODEL HOUSE」(2017〜)では、大阪府四條畷市にある大阪府営清滝住宅の空室を無業状態や不安定な就業状況の若者に提供し、サポートをおこなってまいりました。
「MODELHOUSE」での取り組みを活かし、2020年度より若者のみならず、就職氷河期世代やコロナ禍で失業された方に向けた「住宅つき就職支援 チャン巣PROJECT」を実施。住まい・仕事・コミュニティのサポートをおこない、誰もが自分らしい働き方・生き方を実現できる社会をめざしています。
※本プロジェクトのうち、就職氷河期世代の方向けの支援は、大阪府委託「住宅付き就職氷河期世代就職支援事業」として実施しています。また、コロナ禍で失業された方向けの支援は、NPO法人HELLOlife「コロナ禍における若年失業者の住宅付き就職支援事業」として実施しています。なお、NPO法人HELLOlifeの事業では、大阪府の「コロナ禍における社会課題解決のためのNPO等活動支援事業」として大阪府と連携協定を締結している一般財団法人村上財団が、活動資金を提供しています。
1990〜2000年代の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った「就職氷河期世代」のなかで、希望する就職ができず、不安定な仕事に就いている・無業状態にある等、様々な課題に直面している方が全国で少なくとも50万人(注1)います。また、コロナ禍により失業された方が全国で約10.5万人(注2)になり、このような状況下で、長く働きつづけられる仕事を見つけ、安定した収入を得て住まいを確保し、自立した生活を送ることは容易なことではありません。厳しい国内の雇用情勢の状況下において求められるのは、正社員へのキャリアアップに向けた施策だけでなく、例え非正規雇用で所得が低くても安心して暮らし働き続けていけるための環境整備です。
本プログラムでは、公営住宅の空き室を住宅として提供することで必要生活費を下げることを実現。また、共通の目標や類似の課題を有する入居者同士が集まり、住や食の空間を共有することでコミュニティの形成をサポートし、孤立化せず互いに支え合う共助の仕組みを育みます。コミュニティの中で、一人ひとりが自身の役割に気づき自尊心を高めることによって、就業に関する課題に対しても良い影響を与えることができると考えています。
注1:内閣府 就職氷河期世代支援プログラムより
注2:厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について 令和3年5月28日時点 より
企業交流会への参加や、応募に向けた相談、書類・面接対策などの就職に向けたサポートを受けながら、就職をめざします。就職決定後は、住居として大阪府営「清滝住宅」の空室1部屋の提供を受け、職場で働きつづけられるよう、研修や定期的な面談などを通じて継続的にサポートします。また、自治会活動や入居者同士の交流を通じて、社会人基礎力の養成を図り、社会的経済的自立を支援します。
住居の確保が困難な状況にある方に対し、大阪府営「清滝住宅」の空室を1部屋ずつ提供します。本コースでは、DIYを共同作業で実施したのち入居してから、就職に向けた準備研修や面接、書類対策等のサポートを実施します。入居後は、就職に向け、随時就職サポート。自治会活動や入居者同士の交流等により、社会人基礎力を身につけます。
※両コースとも、上記のほか、下記の条件等を満たす必要があります。
提供する住戸(清滝住宅)に単身で転居できる/医師から就労を止められている状況ではない
学生ではない/自治会活動やサポートの一環で実施する研修に参加できる 等
プロジェクト参加者と企業とのマッチング率を高めるために、就職までの個別型伴走支援を実施。
(「どう働き、どう暮らしたいか」という観点から、参加者への現状ヒアリング、応募書類の作成アドバイス、面接練習や書類添削、企業訪問の同行等)
就職後も研修や定期的な状況確認を通じて、職場定着や再就職など状況に応じた継続的なサポート体制が構築されています。
求職者に向けて自社の魅力を発信していただくための機会として、求職者と企業のマッチングを図るための企業交流会を実施します。その後希望があれば、個別での企業説明会や職場見学をおこないます。
株式会社大前製作所(製造)/ 株式会社田中商店(建設)/ 近鉄バス株式会社(運輸)/ 株式会社ティグラ(製造・建設)/ 社会福祉法人山麓会清滝らくらく苑(福祉)/ 社会福祉法人大阪暁明館大阪暁明館病院(医療)
その他、様々な企業が参加しています。
新入社員としての心構えや、直近数ヶ月〜半年先までの目標を設計します。その他、職場でのリーダーシップを身につけるレクチャー講座等も実施。目的意識を持って業務に取り組むことや、同じような境遇の仲間たちとの情報・意見交換の場を持つことを通して、長く働き続け、職場で活躍できるような人材の育成に寄与する研修の内容となっています。
(過去の研修メニュー:入社後3ヶ月先の目標共有、チームビルディング、コミュニケーションスキル研修等)
プロジェクトへの参加決定後は、住居として大阪府営「清滝住宅」の空室1部屋を提供。D I Yプログラムを導入しており、入居する部屋の壁紙やペンキ塗りなどを入居者自らが手掛けます。参加者同士やスタッフとの協働作業・体験によって、信頼関係の構築やプロジェクトへのモチベーションが向上。また、プライベートルームに加え、共有で使用できる家具・家電などが設置されたコミュニティスペースを利用することができます。参加者同士のつながりを育み、住や食を共有する機会を強く持つことによって、収入の多寡に左右されることのない豊かな暮らしを育めるモデルづくりをめざします。
自治会活動(清掃活動や行事)への参加や、地域住民・参加者同士の交流を促進するプログラム。参加者は、自治会活動を通じて社会参加の機会を得たり、職業能力を習得します。また参加者が共同で利用するコミュニティスペースでは、スタッフが就活や生活の相談に応じたり、参加者同士が交流を深められるようなプログラムを実施。
入居者同士や、スタッフ・地域の方々との交流を通じて、コミュニケーションへの自信をつけています。
本事業の取り組みを広く周知するために、地下鉄中吊り広告・駅貼ポスター、You Tube動画広告等、様々な広報を実施しました。
2020.12.07 あべの経済新聞「住宅つき就職支援「チャン巣プロジェクト」始動!」
2020.12.07 梅田経済新聞「住宅つき就職支援「チャン巣プロジェクト」始動!」
2020.12.07 PR EDGE「住宅つき就職支援「チャン巣プロジェクト」始動!」
2021.01.05 報道ランナー/関西テレビ
2021.01.06 産経新聞
2021.01.08 毎日新聞「住居付きで就業支援 コロナ失業の若者 大阪のNPO」
2021.01.13 やさしいニュース/テレビ大阪
2021.01.28 ミヤネ屋/読売テレビ
2021.01.31 朝日新聞「なにわびと 出会いで再起を後押し 塩山諒さん」
2021.02.16 キャスト/朝日放送
2021.02.27 ミント/毎日放送
2021.03.01 読売新聞「空き家提供 自立支援」
2021.03.19 おはよう関西/NHK
2021.05.18 かんさい情報ネットten./読売テレビ
トヨタ財団2019年度募集の国内助成プログラム「そだてる助成」の一事例として、2020〜21年度にかけて助成頂きました。本助成を活用し、コミュニティサポートを強化。高齢者・地域住民がコロナ禍における日常生活に、世代を越えた助け合いの意識を持ち、社会的孤立を防ぐためのコミュニティの仕組みづくりを目的として活動しました。
地元高等学校(四條畷学園高等学校)と協働。総合学習の時間を用いて実施している「探求学習・マイプロジェクト」の授業を活用して、高校生が清滝団地を舞台に地域課題の解決について考える授業・ワークショップの機会を提供しました。初回は70名の生徒に向けて、清滝団地での就労支援×コミュニティデザインに関する授業を2回実施。
そこから、より実践的な活動を望んだ高校生5名が、半年間清滝団地に実際に通い、地域住民へのヒアリングやフィールドワークを行いました。コロナ禍ということもあり、高校生への伴走は、リアルとオンラインツールを用いてサポート。最後は、半年間のアクションを通じた学びと、地域課題解決のためのプラン提案の発表会を学内で実施しました。
住宅付き就職支援プロジェクトで清滝団地に入居している若者と、団地に住む地域住民の関係性構築に重点を置き、「おたがいさん制度」と名付けた様々なコミュニティ支援の仕組みを導入。若者と地域住民の「主体性」を育むこと・若者の自立を地域で応援する仕組みづくりを行いました。
交流のための掲示板・コミュニティ支援冊子・地域活動の際のユニフォームなど、全3つの支援ツールが完成。冊子は、これまでの若者支援の実践をふまえて、地域コミュニティへの参加をサポートするコンテンツや、自分らしい暮らし方を考えるワークなど、様々な内容を盛り込みました。完成した冊子は、本プロジェクトの若者支援の中で年間を通じて活用し、プロジェクト卒業時まで、自立をサポートするためのツールとして活用します。
また、それらを活用しつつ、若者が団地に入居する際に「団地で暮らしていくための姿勢や心得を学ぶ」ためのオリエンテーションを実施。団地コミュニティに関しての理解を深めたうえで、地域内のキーパーソン(自治会や棟長など地域活動の主要人物)と出会う場を設け、地域住民と若者の関係性構築をサポートしてきました。
本プロジェクトに参加する若者を見守り、応援してくれる地域住民のコミュニティ「おたがいさんサポーター」を設立。現在約10名の方がサポーターとして、困りごとがあった際の相談や、地域のルール指導・日々の交流など若者のサポートを率先してくださり、「住宅付き就職支援プロジェクト」に対する、地域内の理解促進のため働きかけてくださっています。
NPO法人ETIC.のコーディネートのもと、バークレイズ証券株式会社をプロジェクトスポンサーに迎え、本事業内における支援体制の強化と、持続的な事業の仕組みづくり・構築を目標にご支援を頂きました。
入居者が共同で利用できる場として開放する、2拠点目のコミュニティスペースをオープン。コミュニティスペースで活用する家具家電を設置しました。増設したコミュニティスペースではお披露目会を実施。入居者・地域の方をお呼びし、みなさんで交流していただく機会を持つことができました。そういった繋がりを通じて、豊かな暮らしを育めるモデルづくりに努めています。
新たなコミュニティスペースには、「おたがいさん掲示板」を設置。入居者のみなさんがコミュニケーションをとったり、交流するためのきっかけづくりとして機能し、掲示板に投稿された質問に応えたり、掲示板を活用するとポイントがもらえる仕組みがあるなど、参加型のツールとなっています。入居してから、仕事の時間等が異なるなどの理由で、交流を取りづらい状況にある入居者もいるため、SNS等は異なった、気軽なアナログの交流ツールとして運用しています。
求職者と企業の交流が図れる場として、企業交流会を2回実施いたしました。当初は対面での実施を予定しておりましたが、コロナ禍の影響を受け、オンラインに切り替えての開催となりました。リアルタイムで質問募集をおこない、随時企業に答えていただくなどして双方向のやりとりを行うことができました。
※お問い合わせ頂いた中で、対象外の方については、地域若者サポートステーション等の連携機関や福祉機関の支援・サポートにお繋ぎ致します。
2021年3月末より、NPO法人等が「住まいを確保することが困難な人たちの自立を支援する」場合に、全国にある公営住宅の空き住戸を積極的に活用できるように省令が改正されました。(「公営住宅法第45条第1項の事業等を定める省令」(平成8年厚生省・建設省令第1号))
この省令改正が後押しとなり、住宅つき就職支援の中でもコミュニティなど複合的な支援を行っているプロジェクトとして、国土交通省及び厚生労働省主催の「令和3年度居住支援全国サミット」の中で好事例として紹介されるなど、現在のコミュニティ支援の必要性を他団体にも認知して頂ける機会に取り上げて頂きました。
就職氷河期世代の傾向として、過去の職歴・ブランクから自信がなく「事務職」などの決められた業種・職種にしか意識が向かない・自身の適性や興味に沿った仕事探しができていない方が一定数見受けられました。それらの特徴を踏まえ、“就職活動への後押し”や“業界の視野拡大”等、サポートの必要性を感じ、職業興味・適職検査のセミナー企画を行いました。
当日はワークや検査を通して、自身にどんな企業や仕事内容が合うかを知り、検査結果を踏まえてイチオシの業種・職種を紹介します。セミナー受講後は、企業とのマッチング・応募へのサポート等を含む就職活動の後押しを個別で丁寧に行い、求職者1人1人をより確度高く就職に繋げていく支援を行いました。セミナーを通して、実際に職場見学・体験に繋がった数は3件、他支援機関に繋がった数は5件となりました。
提供する「仕事・住まい・コミュニティ」のサポートを実際に体感いただくイベントを開催しました。当日はプロジェクトの詳細説明をはじめ、住まいとなる清滝住宅の見学ツアー、企業との交流会やキャリアカウンセラーへの就職相談など、様々なプログラムを用意。
実際にプロジェクトの雰囲気を感じてもらうことで、何かが変わる期待感やプロジェクト参加に対し前向きな気持ちになって頂けるよう、様々な工夫を行いました。また、プロジェクトのことを1日で知ることができる内容のため、スムーズな参加への誘導にも効果がありました。また、参加間口を広げ、支援者・家族等の参加も可能とすることで、支援者経由での紹介等に繋げやすい仕組みを作ることができました。